2018年3月9日 『し』 ~食と健康の館 中村竜弘さん~

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平坦な道のりでは、きっと味気ない。

普段何気なく買ったり口にしている調味料。
古くから醸造などのものづくりの文化が息づく知多半島には、料理の基本の調味料「さ・し・す ・せ・ そ」が勢揃いします。
温暖な気候や質の良い地下水を生かし、昔ながらの製法で造られた「酒・塩・酢・醤油・味噌」。
知多の自然と共にこれらを育むのは、酸いも甘いも噛み分けて、人生のうま味を知っている職人たち。
バイクを乗り回した学生時代、海外を飛び回った 20 代、思い悩んだ 30 代…。
職人たちの人生も一緒に味わえる、知多半島「さしすせそ」の旅へ出ませんか。
 
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食と健康の館 中村 竜弘さん

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・美浜町 小野浦海岸に2005年にオープンした「食と健康の館」の館長。
・町の自然・資源・歴史を、食や体験講座などを通して伝え広める。
 

『製塩の自由化から16年。目の前に広がる伊勢湾の海水から作った自然そのものの塩の魅力を美浜町から発信。』

 

館長には美浜町から中国へと羽ばたいた過去が。

 小学生の頃、海岸に落ちている花火をめくって遊んでいると、漢字やハングル文字が沢山書かれた新聞紙が出てきたんです。その異国の文字にすごく興味がありました。今思うとそれがアジア地域や外国に関心が向くきっかけだったかもしれないですね。
 学生時代は、世界を飛び回るような仕事をしたいという気持ちがあって、大学では中国語を専攻し、留学も経験しました。卒業後は中国関係の仕事に就いたのですが、数年経ってもう少し勉強したいという想いがあって、会社を辞めてもう一度留学をしました。そのあとは上海で働いたりもしましたね。
 

思い立ったら行動!の中村さんも地元へUターンすることに。

 将来的な心配や現実的な待遇面での問題もあって、40代頃に日本に戻ってきました。その後しばらく働いていた時に、ここでのお仕事のお話をいただいたので、地元に帰ってくることに決めました。
 この施設はもともと役場が運営していたということもあって、どちらかというと地味な感じだったんです。なのでもっと美浜町の良さをPRして、国内のお客様に限らず外国の方にも知っていただきたいという想いで事業を引き継ぎました。習慣が全く違う外国に行って色んな冒険もしていたので、それで増えた経験の引き出しを店内の雰囲気づくりや、美浜町ならではのメニューの考案に生かしたいと考えています。
 
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施設の目の前に広がる海。その恵みである「塩」は最近になって自由に楽しめるようになった。

 塩は人間が生きていくために必ず必要なものなんですよね。塩なくしては生きていけない。今でこそ海外から岩塩などが入ってきたり、国内でも様々な種類のものが流通していますが、昔は塩が専売で、全国に数カ所しか工場がありませんでした。そこでの製法というのは、電気を使って塩化ナトリウムだけを取り出すような技術を使って作る、科学的な塩だったんですね。しかしその後、製塩が自由化されたことによって色んな塩が作られるようになりました。それぞれの原料や製法で作ったものを販売できるようになったので、作り方や楽しみ方に色々な選択肢が増えました。精製塩よりも自然な味わいの天然塩もこういった流れで手に入るようになりました。
 
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敷地内にある流下式枝条架塩田。海水を上から滴らせ、太陽熱と風だけで水分の蒸発を促し、濃縮していく。
 

美浜の塩ならではの魅力

 ここでは昭和の時代に発明された「流下式枝条架塩田」という製法で塩を作っているのですが、あまり精製はしません。海水に含まれる色んなミネラル成分を、完全に除去していないんです。なので雑味が残っていて、それがかえって味わい深い美味しさにつながっています。単に塩辛いだけではない、旨味と呼べる部分を残しているんです。濃縮した海水を煮詰める工程は人の手の力で行っていて、乾かす際もデジタル的な基準を設けずに人の手で確かめながら作っています。海水の加減や自然の影響も非常に受ける作り方なので、必ずしも毎回できる塩というのが一定のものではないかもしれないのですが、それがまたうちの塩の特徴、特色です。
 目の前の海、地元の資源を使った地元の味ということは一つの魅力だと思います。食べ方としては、天ぷらや刺身の付け塩として、地元の魚に付けて食べるような食べ方が一番美味しいと思います。自然のそのものの味付けですね。
 

来館する人々への想い

 塩をただの調味料としてしか知らない方もいるかと思いますが、この辺りは古代から塩を作っていた場所でもあるので、塩がどのように作られているか、今もそういうものづくりがこういう場所にあるということをぜひ知ってもらいたいです。
 この地域は洗練されてないのが反対に、素朴さや面白さといった土地の良さになっていると思います。人も穏やかで、皆さん気取らないようなところが魅力ですね。地元にいると慣れてしまうんだけど、こちらに出掛けてくる人は、潮の香りをふと感じることがあると思います。それも魅力かな。場所で言うとここは西海岸なので、夕暮れ時の空の綺麗さも味わえますよ。
 

SHOP INFORMATION

 
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店名 
 食と健康の館
住所
 〒470-3236 愛知県知多郡美浜町大字小野浦字西川1番地
電話
 0569-83-3600
営業時間
 9:00-17:00
休業日
 毎週火曜日/祝日の場合は翌日と年末年始
 

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