2018年3月9日 『す』~株式会社Mizkan 赤野裕文さん・真砂本店 竹内光一さん~

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平坦な道のりでは、きっと味気ない。

普段何気なく買ったり口にしている調味料。
古くから醸造などのものづくりの文化が息づく知多半島には、料理の基本の調味料「さ・し・す ・せ・ そ」が勢揃いします。
温暖な気候や質の良い地下水を生かし、昔ながらの製法で造られた「酒・塩・酢・醤油・味噌」。
知多の自然と共にこれらを育むのは、酸いも甘いも噛み分けて、人生のうま味を知っている職人たち。
バイクを乗り回した学生時代、海外を飛び回った 20 代、思い悩んだ 30 代…。
職人たちの人生も一緒に味わえる、知多半島「さしすせそ」の旅へ出ませんか。
 
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食酢エキスパート 赤野裕文さん

PROFILE
・株式会社Mizkan  MD本部 商品企画部
・粕酢の普及や飲みやすいお酢の開発に尽力。現在はお酢の文化を広めるべく「食酢エキスパート」として奔走する。
 

『半田の酢の原点は粕酢にあり。醸造文化のふるさとから伝え導く。』

 

始まりは寿司黎明期、江戸の町。

 当時江戸の町では屋台で食される早ずしが流行していました。当時の早ずしは米酢を混ぜたご飯と、痛まないように下処理をした食材を使ったお寿司です。1800年頃の早寿司はまだ握りではなく、押し寿司のような形でした。
 寿司の文化が芽生えていた中で、時代は町民が主役の華やかな文化文政時代。町の人々も綺麗な着物を着ていたのですが、その着物の染色に必要とされたのが米酢でした。そのため、米酢は食されるよりも工業的に使われる割合の方が圧倒的に多く、調味料としてのお酢は品薄になっていました。
 

そこで生み出されたのが、酒粕を原料にした酢づくり。

 そんな折、尾州半田の造り酒屋である中野又左衛門が江戸へ下り、早ずしの存在を知ります。元々知多半島は、遠州灘を通って江戸へ下りやすいという地の利があったことに加え、原料である米も豊富に採れたので、酒造りが非常に盛んでした。しかし、全国的に米の生産量が増えてきて、出荷先である江戸近辺でも酒が造られるようになったので、知多の酒は苦戦するようになってきました。
 そのための市場調査だったのか、中野又左衛門は江戸へ赴き、そこで知った早ずしから着想を得て、それまで利用されていなかった「酒粕」を原料とする酢づくりを考案します。しかし単なる酒粕ではなく、「熟成した酒粕」を原料に使うことが彼のアイデアでした。
 

「粕酢」が世の人々にもたらしたもの

 熟成した酒粕を使うことで、当時の米酢よりもまろやかで非常に旨味の多い「粕酢」が誕生しました。その味がその頃すでに生まれていた握り寿司にとてもマッチしたので、庶民も上流の方も握り寿司を大いに楽しむようになっていきました。現在世界中で食べられるようになったお寿司の文化は、粕酢が使われるようになったことで発展したと言えます。
 明治以降は、戦後や時代の流れから米酢が再び主流になっていきましたが、1984年に当時の製法をベースにした弊社の「三ツ判Ⓡ山吹Ⓡ」は半田の酢の見える原点なんです。
 
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当時ブランドとして銘打たれた「山吹Ⓡ」という粕酢の中でも、
特に出来が良いものの樽には3つの判子が押され「三ツ判Ⓡ」として江戸の名店に愛用されました。
 

もっとお酢の歴史を知りたい!という方はコチラ!

 
MIZKAN MUSEUM
事前予約制 ホームページもしくはお電話にてお申し込み下さい。
案内開始時間 9:30から30分毎(最終 15:30)
休館日 木曜日(木曜日が祝日の場合は開館、翌金曜日が休館)年末年始 ※詳しくは予約ページをご覧ください。
駐車場 39台(他、バススペース有)
入館料 大人:300円 中高生:200円 小学生:100円 乳幼児:無料  ※障がい者手帳をお持ちのご本人とその付き添いの方1名:半額
ツアー所要時間 90分(ガイドツアー70分+「光の庭」体験エリア20分)※「光の庭」体験エリアは次のツアーとの入れ替え制です
住所 〒475-8585 愛知県半田市中村町2-6
電話番号 0569-24-5111
休館のお知らせ 2018年5月7日(月)~2018年7月下旬(仮)までリニューアル工事のため一時休館とさせていただきます。
 

半田市には、当時のお寿司を復元した「尾州早すし」を食べられるお寿司屋さんがあります。

 
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真砂本店 竹内光一さん

PROFILE
・大正 5 年(1916 年)創業 寿司会席真砂本店 4 代目
・魚や貝類の宝庫である知多の海で獲れた食材を使用し地域に寄与する。
 

『酢の歴史と共に当時の味を今に伝えるのは、カウンター越しでも距離を感じさせない昔ながらのお寿司屋さんの大将。』

 

真砂本店ならではの「尾州早すし」とは

 10 年ほど前に、ミツカンさんが江戸時代の粕酢「三ツ判Ⓡ山吹Ⓡ」を復刻されたことをきっかけに、半田市内の寿司屋の何店舗かが一緒になって、残っている文献等から製法や原料を調べ、当時のお寿司を忠実に再現したのが「尾州早すし」です。肉体労働の方が多かった時代なので、一貫が今の 3~5 倍と大きく、保存がきくように青魚は塩をして酢に漬けたり、まぐろは醤油・みりん・酒などを使って漬けにしたりと、ネタに仕込みをすることも特徴です。
 昔ながらの粕酢を使ったお寿司の味だけではなく、酢の歴史や文化を実際に舌で学べるのが面白いなと思い、提供を始めました。
 
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 当店では、まぐろ・えび・穴子の早すし 3 貫に、天ぷら、焼き魚、赤だし等が付いた「尾州早寿し御膳」をご用意しています。こちらは色んな人に食べてもらいやすいようにと考案しました。普通のお寿司のセットと早すしのセットをお連れ様とシェアして、食べ比べながら楽しまれる方もいらっしゃいますよ。
 本格的に味わいたい方は、いかや青魚も付いた 5~6 種類の早すしだけのセットも、前日までのご予約でご注文を承っております。
 

酢だけでなく、海苔、魚、米、多くの食材には知多産を使用。

 漁師さんが獲ったものを生かして調理したら「おっ俺が獲ってきた魚がこういう寿司になったのか」って漁師さんも嬉しいじゃないですか。それはお米にしても野菜にしてもそうだと思うんです。うちではずっと地元の食材を使っています。やっぱり地元の方あっての商売なので、なるべく知多産のものを使うことで還元していくというか、地域が共生していけるといいですよね。
 

読者へのメッセージ

 おじいちゃんおばあちゃんにも喜んでいただいていますが、文化というのは引き継いでいくものなので、若い人にも是非知っていただきたいですね。「えっ昔ってこんなお寿司だったの!」とかね。こういうお寿司屋さんはきっと入りにくいと思いますが(笑)、地元の食材を使って、手で握るような本当のお寿司を広めたいという想いで、ランチで頼みやすいお値段のものもご用意していますよ。
 
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早すしの大きさを見て、おにぎりみたい! と言うお客さんも。昔の握り寿司は字のごとく、手全体で握っていました。
 

あとがき

 通常のお寿司のシャリってあまり主張しませんが、尾州早すしのシャリは口に入れると旨味が薫ります。ネタであるまぐろも漬けにされることで、舌に吸い付くような食感に。大きさだけでなく、シャリとネタ、双方の旨味からくる満足感がありますよ。
 

SHOP INFORMATION

 
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店名
 寿司会席 真砂本店(まさごほんてん)
住所
 愛知県半田市北二ツ坂町 2-15-3
電話番号
 0569-21-0547
営業時間
 11:00-14:00 17:00-22:00
休業日
 木曜日
その他
 駐車場有り(18 台)
 

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