ちょっと待って! 安い車検は”良い車検”とは限らない
クルマユーザーにとって、絶対に意識する出来事が車検。
金額の大きいことであり、どんなクルマに乗っていても訪れるため、車検前にクルマを買い替えることを検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、「車検はなるべく安く抑えたい!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、「安い」車検が必ずしもいい車検とは限りません。
今回は、格安車検とディーラーの車検を比較して、
・安い理由
・どちらがいいのか
を考えてみました。
格安車検の内訳大公開!!
そもそも、格安車検ってなぜ“格安”なのでしょうか?
格安車検とディーラーで実際に見積もりをとってきたところ、格安車検は11万円、対してディーラー車検は21万円でした。
クルマの年式が古く、クルマのジョイント部を保護するための部品である「ドライブシャフトブーツ」が破れていることが、この値段の理由です。
人でいうと関節部分にあたるこの部品は交換しなければ車検に通らないものであり、どちらの見積もりでも交換を勧められました。
しかし、それ以外に壊れているものはありませんでした。
では、この10万円の差は、どこから来るのでしょうか。
ひとつは、工賃や手数料の差。ユーザーごとに営業担当がつき、整備履歴が個別に残る丁寧なディーラーと違い、格安車検はとにかく数をこなします。一件あたりの手数料を抑え、回転率を上げることで売り上げを立てています。
もうひとつが今回のテーマ。ディーラー側は、予防整備の提案を勧められました。
予防整備とは、実際にクルマが壊れる前に早めに交換することで、壊れることによる不利益を受けないようにする整備の方法です。
今回のクルマは先ほど説明したように、ドライブシャフトブーツが破れていました。
この破れたブーツを放置しておくと、ブーツの中の保護剤であるグリスが漏れ出て、中のドライブシャフトが痛んでしまい、最悪の場合は交換することになります。
人でいえば膝の軟骨がすり減って、歩く時に膝が痛くなる関節症によく似ています。
実際に痛み出すと治療に多くの時間や費用を掛けることになるので、太りすぎに気を付けたり、ストレッチ、サプリメントの服用を心掛けたりしますよね。クルマも同じです。
あらかじめ消耗品を交換しておくことで、故障のリスクを下げることが出来ます。
そのクルマ、何年乗るの?
今の日本車は、一度買うと10年間乗り続けることもある高性能なもの。
「壊れないから安心」と思っている方もいるかもしれません。
しかしながら、「壊れにくい」と「何もしていては壊れない」は別物。
どんなに丈夫なクルマであっても、ろくにメンテナンスをしていない状態ではいずれ壊れます。事故しなくても保険を掛けるように、クルマも壊れないための「備え」が必要なのです。
ディーラーから受け取った今回の見積もりは、
・ブレーキ液
⇒気泡が入り性能が落ちるので、車検ごとに交換する
・下回りのスチーム、塗装
⇒錆びて劣化することのないよう、クルマを下から清掃&塗装する。
・エンジンの冷却水
⇒冷却機能を維持するため、7年周期で交換する
・メンテナンスパック
⇒半年ごとの点検・オイル交換
が含まれていました。
このうち、格安車検でも提案されたのはブレーキ液のみ。
「交換しなくてもよいもの」に関しては見積もりに含めないことも、格安車検が安く感じる
要因の一つなのかもしれません。
重要なのは、この予防整備を含めて
「あと何年乗り続けるか」「それによりどんなリスクがあるか」を把握することです。
ディーラー車検の際は、「交換物が多いからクルマを買い替える選択肢」も伝えられました。
一方で格安車検は、車検を「今通す」ことにどれだけお金がかからないかの説明だけで、これといった提案はありませんでした。「クルマを買い替えた方がいいですか?」なんて質問は、出来そうにありません。
個人に「営業」担当がつき、店舗での整備履歴も分かるディーラーに対し、回転率のために最低限の「接客」で済ませる格安車検との一番の違いは、ここにあります。
子供が大きくなるから、高齢の親の送り迎えをするから、嫁がパートを始めるから。
とりとめのない会話から必要な情報を抜き出し、選択肢を提示し、クルマの乗り方の最適解へとつなげるのが営業の提案です。
担当のいない格安車検では、家族の暮らしや金銭状況にまで突っ込んだ話をすることはできません。
もちろん、すべてのディーラーの営業に話が出来るわけではありませんが、常日頃からクルマのことを考えているわけではないユーザーにとって、相談できる場所は大きなメリットになりえます。
現在、クルマのことを相談できる方は周りにいますか?
車検は“必要悪”ではない
確実に訪れる車検。家計のことを考えると。ついつい安く済ませようとなりがちです。
しかしながら、メンテナンス不備で故障した際は、もっと大きな金額が、突然降ってきます。特に現在は半導体不足でクルマの納期にも遅れが出ており、「直すのは高いけど新しいクルマもない」なんて事態もあり得ます。
一回の車検を安く済ませることを考えるよりも、あと何年そのクルマに乗るかを考え、壊れる前に必要な部品をあらかじめ交換してリスクを抑える。
そうしたほうが、トータルで見た時のコストは抑えられるかもしれません。
一度、これからの生活設計をご家族で話しあってみてはいかがでしょうか。
※記事は2023年7月のものです。
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