お腹と一緒に心も満たす お肉屋さんのお惣菜
コンビニ、スーパー、デパート。
いつでも手軽にお腹を満たせるようになった世の中で、お肉屋さんが昔と変わらずにこだわりをもって作っている、コロッケやとんかつといったお惣菜。
そこには、コンビニのホットスナックでは感じることのできない何かがあるのではないでしょうか。
部活終わりに寄り道してみんなで食べたり、食卓に出て来るとちょっと特別感があったり。
知らないはずなのになぜか懐かしい気持ちになれるお惣菜を紹介します。
町のお肉屋さん
豊橋駅からクルマでおよそ10分。
今回お邪魔したのは「ミートショップ芳屋」さん。
お昼時に来店したのですが、近くにお住まいの常連さんが代わる代わる来店されていました。
入店して感じたことは、店内がとてもキレイだったこと。
昔ながらの良さをちゃんと残しつつ、お店に清潔感がありました。
なんでも、昨年リフォームを行い、レイアウトも変更したそう。
芳屋さんは創業70年を超える老舗店舗。
3代目社長の清田さんが、半世紀以上豊橋で代々お店を受け継ぐ中で、変わっていくもの、変わらないものを教えてくれました。
今もずっと、変わらないおいしさ
お店に入って感じるのは、お惣菜コーナーの割合の大きさ。
レジカウンターを挟んで左側のケースは、ほとんどがお惣菜。
驚いたのは、コロッケやチキンカツといったお肉屋さんらしい揚げ物だけではなく、ポテトサラダやナポリタンといったおかずも手作りであること。
しっかりと味がつきながら、どこか優しい味わいのお惣菜は、どれを食べても絶品です。
お惣菜のショーケースには、コンビニのようにあたたかさをずっと維持する機能はありませんが、丁寧な下ごしらえのためか冷めても柔らかく、おいしく食べることができます。
こういったお惣菜のほとんどは、おいしさを洗練されつつも、50年近く昔から作り方を変えずにお届けしているんだとか。
実際、取材をしながらも、裏では奥様である女将さんがコロッケの仕込みのために動き回っていました。
また、ハンバーグやメンチカツなどは、お肉の都合でお店に出さないこともあるなど、お肉屋さんのこだわりを感じます。
昔からの作り方を守ること、お肉にこだわること。
この2つが、お肉屋さんでしか作ることのできないあたたかさに繋がっているのではないでしょうか。
ちなみに、お惣菜のオススメは、その日その瞬間によって異なるとのこと。
作りたて、揚げたてに勝るものはないそうです。
変わっていく商店街で
「昔は商店街だったんだ。住んでる人も、今よりもっと多かったね。」
清田さんは、少しだけ残念そうな顔をしながら、生まれ育った豊橋の変化を話してくれました。
芳屋さんは、市電の駅から少し外れた通りにあり、道路を挟むように、お家やお店が立っています。
昔は市電が目の前を通っていて、お店が76件もある大きな商店街だったそう。
当時の手書きの地図と一緒に説明してくれました。
今はお家に変わっていたり、シャッターが閉まっていたりとお店自体の数は少なく、市電自体も路線変更によって少し遠くに移っています。
豊橋だけにとどまらず、全国的に数を減らした商店街。
大型スーパーやデパートなどによって、一つのお店でなんでも揃うようになったことが原因とされています。
けれども、なんでも揃うだけが便利ではないのです。
それが分かったのは、一本の電話からでした。
あなたが食べるお肉だから
取材の最中に奥様が受けた電話。
少し経ってから、お客様が来店され、そのままをお惣菜受け取ってお帰りになられました。
近所の方が予約注文をしていたそう。
芳屋さんでは、自分の欲しいものがあるかどうかを電話で確認し、待たずに受け取ることが出来ます。
その場になくても、時間内であれば揚げてもらうことも可能。
あらかじめ電話で予約していれば、焼き鳥のように普段並んでいないものの用意も出来るそうです。
また、その後に入って来たお客様は、「お肉にパン粉をつけてほしい」という注文をしていました。
迅速で柔軟な注文が出来るのは、地元のお肉屋さんならでは。
既に並べたものを販売しているデパートや、何日か前に予約を入れないといけない大型デパートではない便利さです。
さらに、芳屋さんでは、焼き豚などのお惣菜を真空パックすることも可能です。
最初から真空パックで販売されている商品は他のお店でも売っていますが、店内で作ったものを真空加工できるお店はそう多くありません。
出来立ての時に来店すれば、お手製の焼き豚を温かいまま味わうことが出来、
そうでない時であれば、真空パックで日持ちさせることが出来ます。
「日持ちするお手製」という、既製品とお惣菜をいいとこ取りしたおかずを食べられるわけですね。
こういった要素も相まって、芳屋さんは時代が変わった今でもなお
豊橋の方から愛されるお肉屋さんとして営業しています。
今後の目標とは
「お店をキレイにしたら、働きやすくなったことを感じる。
機材が古かったから新しくして、時代に合わせてレイアウトも変えた。
今は、このお店を続けていくことが目標かもしれないね。」
と、清田さんは少し照れくさそうに答えてくれました。
「やっぱり、お客さんに『また来よう』と思ってもらえること。それは大事にしています。
美味しいものを作ろう、お客さんの欲しいものを作ろうって考えは、肉屋さんとしての本能かもしれない。」
商店街からお店がなくなって、今に合わせてお店が変わっていく。
それでも、長年受け継いだ味や、お肉屋さんとしての想いは、変わらずに豊橋に残り続ける。
芳屋さんで食べたお惣菜からは、そんなことを感じたのでした。
SHOP INFORMATION
店名 | ミートショップ芳屋 |
住所 | 豊橋市東田町北臨済寺35−11 |
電話番号 | 0532-61-3717 |
営業時間 | 11時~19時 (揚げ物時間11時~13時半、16時半~18時半くらい) |
定休日 | 日曜日 (※月に1回~2回月曜日休みあり。Google検索から確認できます。) |