café CARTON 足立 義竹さん
足立 義竹さん(68歳)
・岐阜県富加町出身。厨房メーカーのサラリーマン生活を経て、38年前に岐阜では珍しかった自家焙煎のカフェを開業。岐阜の珈琲文化を牽引してきた先駆者。
38年前に開業、自家焙煎では岐阜の先駆者 !
豆に秘められた香味を最大限に引き出したくて、愚直に向き合う毎日。
Episode1
“珈琲”が天職になってしまったきっかけは?
高校を卒業する際、出身の関市が誇る伝統技術の刀鍛冶になりたくて学校の先生に相談したことを憶えています。とても飯食えないから厳しいよ!!と助言され、地元の厨房機器メーカーへ就職、工場勤めをしていました。もともと手工芸が好きなんでしょうね。
ある時、営業の仕事に異動し静岡に転勤となりました。手工芸が好きな性格だったので悶々としていました。しばらくして自分に本当に合った仕事は何だろうかと将来について悩み始めました。
そんな頃、静岡のとある珈琲屋さんに入り、美味しい珈琲を飲む機会がありました。だんだん珈琲が好きになり通うようになるにつけて、珈琲で生業を立てられないかなぁと想うようになったんです。
思い切ってそのお店に頼んで弟子入りし、珈琲の世界に移りました。25歳でした。
Episode2
転身した“珈琲”の世界はいかがでしたか?
弟子入りした喫茶店の珈琲豆の仕入先に「株式会社コーヒー乃川島」という焙煎卸会社がありました。ここの息子さんが後々、世界屈指のコーヒーハンターとして有名になる川島良彰さんですが、彼のおやじさんに焙煎の事を色々教えていただいたんです。生豆を少量ずつ分けてもらい、フライパンで煎ったりしながら自分なりに勉強したり、焙煎しているところを見学しながらおやじさんが随分教えてくれた。気が付けば珈琲のお店をいずれ開くなら自家焙煎でやりたい!と思うようになりました。そうして5年学び、30歳で開業です(ほぼ独学でした)。
Episode3
岐阜に開業し、自家焙煎を選んだのは何故ですか?
出身が関市だったので、岐阜が馴染みやすい土地で自然と岐阜に落ち着きました。「自家焙煎」を選んだのは“自分なりのポリシーを追求できる”のが自家焙煎だと思ったからです。パンでも蕎麦でも自家製というお店が増え、当然、珈琲もそれが望ましいと思いました。東京などの都会では当時、自家焙煎はだんだん増えてきていましたが、岐阜では数店のみだったと記憶しています。
岐阜では自家焙煎の先駆け的な存在だと、当時は見られてましたよ。
Episode4
お店として「珈琲」のどんなところに、こだわっていますか?
当然、うちのお店は珈琲がベースで、それに合ったケーキも提供をしています。珈琲は「豆に秘められた個性を最大限に引き出す」為に焙煎しています。長年、試行錯誤を愉しんできました。浅煎りから深煎りまで色んなローストを試してみる。それを試飲し、風味が最大限ベストだ!と思える煎り方に決める。この繰り返しです。
Episode5
焙煎はどんなやり方をされていますか?
うちは手動式なので、タイマー計算できない分、ずっと向き合い自分なりの勘所を働かせて煎っています。あと、最近では少数派の直火式ということ。ソフトに仕上がりがちな熱風式焙煎機ではなく、しっかりとしたメリハリのある味を出したいので直火式焙煎機にしています。
Episode6
珈琲の個性を強くされたいんですね !?
一般的には「酸味と苦味」は少なく、「まろやか」な味が好みという方が多いようですが、私は生産された土地固有の特長を活かした、珈琲を提供し続けたいと思っています。
一押しは「カルトンブレンド」。
フルシティロースト深煎りと言い、深い苦みをベースに、酸味が少ないテイストです。初めての方は慣れるまではちょっと戸惑いがあるかもしれませんが(笑)、好きな方は好きだとおっしゃってくださいます。
もう一歩深煎りした「フレンチブレンド」もおすすめ。好きな方だともう他の味は飲めないよ、とファンも沢山いらっしゃいます。
珈琲豆は深く焼くと色んな味が消えていきます。酸味や渋味など。最後まで残る苦味も“丸み”を帯びた苦味になるのが特長で、それを活かしたブレンドです。
これらの深い珈琲に合うのは濃厚なチョコレート系のケーキかな。クラシックショコラとか。濃度が深い珈琲と相性が良いのだと思います。
不器用かもしれませんが、個性的にやりたいというのが私のこだわりです。
素晴らしいものが出来、お客様が喜んでくれた時は本当に嬉しいです。
SHOP INFORMATION
店名 | café CARTON |
住所 | 〒500-8835 岐阜県岐阜市玉宮町1-6 |
電話 | 058-266-0427 |
営業時間 | 11:30~22:00 |
休業日 | 不定休 |
その他 | 駐車場有り(1台~2台) |