さんぽで感じる村上春樹
ナカムラクニオ 道前宏子 ダイヤモンド社
高校二年の年、「ノルウェイの森」が大流行した。テレビや週刊誌だけの出来事ではなく、教室でも持ち切りだった。誰しもが身近な恋を本の中の「僕と直子」になぞらえて・・・。それから3年後、初めて村上春樹を読んだ。
「僕」と同じように故郷を出て東京へ行き、
「僕」と同じように大学のキャンパスで一人ポツンと過ごし、
「僕」と同じように旅をした。
作家が何も文章を書き出せなくても、毎日決まった時間に決まったデスクで原稿用紙に向き合う・・・村上春樹が「チャンドラー方式」と呼ぶ、このライフスタイルを僕も踏襲している。歳を重ねるのは必ずしもドラマチックなことばかりではないが、自ら定めた生き方のルールを淡々と生真面目に追いかけていくと、勝手にドラマに巻き込まれていく。そんな村上春樹の登場人物たちの”心の旅”の遍歴をガイドブックで感じることができる本。
登場舞台を訪ねてみたくなる珍しいガイドブック。