本棚の本 2022.2月
メメント・モリ 著/藤原新矢
メメント・モリ、ラテン語で「いつか自分が死ぬことを忘れるな」という警句。生きているということは、死に向かっていること。明日があることは当たり前じゃない、もし今日が人生最後の日だったらと思って毎日を過ごす。人に話すもの重たくなる内容だが、事実として知っておくべきことでもある。限りある時間の中で、今を楽しむこと。あまり思っていることをそのまま表してしまうと、宗教っぽくなるのでここまでに。1983年、約40年も前に書かれた本の言葉は、いつまでも色褪せることはない。
●本の情報 出版社:三五館 発売年:2008年 ISBN:978-4883204489
手紙屋 著/喜多川 泰
お気に入りの場所でのサプライズで知った、「手紙屋」の存在。10通の手紙を交わし、人生で実現したいことを実現するお手伝いをしてくれる「手紙屋」との出会いで、就活で悩む主人公が自分の気持ちが変化していく物語。電話やメール、対面でもなく「手紙」という手段は、考えて書くことで自分の気持ちの整理にもなる。書いていることで気づくこともあるし、時間が経って見えてくることもあるのだ。どうしても視界が狭く、気持ちが一方通行になりがちな時に、自分の言葉を受け止めてくれて、なお進もうとする道へ、そっと背中を押してくれる人がいること。手紙屋が誰だったのか、なんて最後まで読んだひとだけの秘密。今でも、この本の中には欲しい言葉が詰まっていて、伝えたこともこの本の中にある。その需要が一致して、この本を誰かに贈りたくなる人へ、そっと差し出したい。
●本の情報 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売年:2007年 ISBN:978-4887595705
ジャッジメント 著/小林由香
刑罰の中に、死刑・懲役・禁錮のほかに「復讐法」のある世界。家族を失った人、家族同士での争いの人、通り魔で大切なひとを失った人、亡くなってから自分の罪に気づいた人、ネグレクトの親と向き合う人。応報監察官の主人公が出会った5件の復讐法は、現実の世界でも起こっている内容なだけに、とてもリアルに感じる。人が殺されるのには理由があり、何が正しいのか何が倫理なのか、それはきっと人それぞれ。人と人とがわかり合おうと正面から向き合ったとき、それはきっと自分自身の気持ちとも向き合えるそんな機会なのだ。この物語はフィクションなのだが、言葉に血が通っているかのよう。読み終わったあとのずしんとくる重みは、きっと大切な何かを気づかせてくれる。
●本の情報 出版社:双葉社 発売年:2016年 ISBN:978-4575239706