本棚の本 2022.9月
カンカンカンカン
カンカンカンカン
ガタンゴトン
ガタンゴトン
各駅停車の音はいつも日常の中にある。
その日常の中にも旅に繋がる糸口がある。
私鉄沿線 著/春夏秋冬叢書
この地方の日常にある、ローカル電車。
「天竜浜名湖鉄道」「名古屋鉄道蒲郡線」「豊橋鉄道渥美線」「遠州鉄道」の4つの路線の一駅一駅が、当時のまま本の中に残されている。
はじまりは「天浜線」。
多くは無人駅で人もまばら。そこにはどこか懐かしいと思える風情がある。昔のままの形を残すのは簡単なことではないし、そのままであり続ける努力も必要なのだ。
令和7年まで存続することが決まった「蒲郡線」。
地域の声で廃線をずっとずっと延ばしているのには、蒲郡の海岸線を走る“地元の足”なのだからだろう。
豊橋に住んでいたら一番なじみのある「渥美線」。
駅舎が変わり、景色が違ってみえてくる。懐かしさと今の新しさと感じ取れる。
浜松の「赤電」でローカル電車の旅はおしまい。
この書籍は2004年(平成16年)のもの。
私鉄沿線を片手にいっしょに旅をするのも面白いかもしれない。
変わっていくものと、変わらないものが共にあって、住んでいる人がいて、そこには線路がある。これからも続いていく電車と、町の風景を感じながら読める一冊。
●本の情報…出版社:春夏秋冬叢書 発売年:2004年 ISBN:4-901835-11-4