珈琲特集

DOLCI café(ドルチカフェ) 吉田 基一さん

吉田 基一さん(63歳)

・三重県出身、名古屋・今池に1978年カフェレストランを開業したのがキャリアの始まり。
・1989年、岐阜・柳ケ瀬で当時珍しい女性に焦点を当てたドルチカフェをオープン。

大人がゆったりとくつろげるプライベートカフェと愛されて29年。

Episode1

“珈琲”が天職になってしまったきっかけは?

珈琲が好きだったから自然とこの商売に付きました。24歳で脱サラし、27歳の時、名古屋・今池でカフェレストランを開業。ところがすかいらーく等のファミレスが名古屋に進出してきて売上が落ちてきました。今後の展開をどうしようかと思案し、東京にしばしば上京。最先端のカフェを勉強する日々の繰り返し。
そんな時に東京で当時、日本の自家焙煎の最先端をいくカフェとたまたま出会いました。ストレートの珈琲から、ウィンナー珈琲とも異なるクリームと珈琲の二重奏といった創作珈琲まで、凄いラインナップ。ガーンと頭を殴られました!その店に留まらず、ありとあらゆる一流の味を、東京の数々の名店で知り、大きく影響を受けました。そういった若き日の感動の積み重ねの結果、現ドルチカフェの定番人気の「オ・レ・グラッセ」を創り上げることになりました。

Episode2

どうして岐阜にお店をオープンしたんですか?

金華山と長良川という圧倒的な自然美が街のど真ん中から見えるという風光明美さに理屈抜きで惹かれました。また遊びに来た際に知ったこと「圧倒的に水が美味しい」。これに尽きます。この地で珈琲の仕事をするのに迷いはありませんでした。

Episode3

「大人の女性のためのプライベートカフェ」というコンセプトはどこから?

お客様が「自分の為の」大切な時間を過ごせる場所を提供したいという想いからです。うちのお店では中学生未満のお子様はご遠慮願っています。お母さんたちは子どもが居るとどうしても“日常”を見てしまうからです。時には“日常”を忘れて、自分だけの時間を過ごしていただけたらと思います。
どうしてかって!?
大人がちゃんと大人として楽しめ、くつろげる場なら、きっと次の世代も認める場として継承されると思うから。でも若い人に迎合した空間は一過性の流行で、来店される方も長いお付き合いのお客様にはなり得ないと考えます。うちでは同じ家族で三世代に渡りご愛用くださる方が時々いらっしゃいます。小学生NGだから遠慮してたけど、中学になったから娘連れてきた!というお母さん自体が常連のシニアの方の娘さんだったりします。愛娘を連れて行きたくなるお店――そんな利用のされ方がとても嬉しいです。
大人のお店って、審美眼のある男性が接待にも使える「わきまえた空間」であること。「名刺交換は野暮だから今日はいいですよ」と落ち着いて話せる場。そんな空間の昼間の主役は審美眼のある奥様方。例えばのイメージです。でもそんな場は少ないだろうから、女性にとっては「たまの自分の為のくつろぎ」として癒されるのではないだろうかと思って店づくりをしてきました。

Episode4

お店として「珈琲」のどんなところに、こだわっていますか?

オールドビーンズです。機械ではなく天日で数年かけて乾燥する豆だからこそ、焙煎したとき均一に火が通り、珈琲の成分が全て出せる豆。いいところがきちんと抽出できる豆。でも渋味やえぐ味も一緒に出てしまうから、ペーパーフィルターではなくネル(布フィルター)でドリップし、余計な成分を除外しています。これだと珈琲の良いところだけを沢山抽出することが出来ます。濃い珈琲になるけど、すっきりしたおいしさ。少量で深く楽しんでほしいと思います。
代表レシピの「オ・レ・グラッセ」はオールドビーンズで水出ししたダッチコーヒーを超濃厚ミルクに浮かべたアイスオーレだと思ってください。29年間これしか飲まない常連さんも沢山いらっしゃいます。ここらでは珍しくて癖になる美味しさです。

Episode5

珈琲以外のお店づくりへのこだわりを教えてください。

カフェは珈琲を飲む場ですが、珈琲そのものよりもその店の“空気感”やスタッフの動きが一番の楽しみだと思います。私自身は建物やインテリアが好きで随分、その方面からいろんなお店を勉強がてら訪ねました。お店の内外の装いから興味を惹かれ、珈琲を飲みながら滞在していると、自然とマスターやスタッフの人柄が見えてくる瞬間があります。空間としての場の雰囲気と働く人の醸し出す雰囲気の“何かがしのばれるオーラ”を感じる瞬間の感激。
翻ってうちのお店はどうだろうかと、時折想像する事があります。
お客様が「どんなライフスタイルの日」にうちのお店を選ばれるのかが大変気になるところ。「たまの贅沢の為、自分を癒す為に、大人の女性の為のプライベートカフェを利用していただきたい」。そんなチョイスをしてくださる大人の方とドルチカフェという場を通じて行き来できることが私の仕事の醍醐味です。

Episode6

最後に、岐阜の喫茶文化の魅力は何だと思いますか?

端的に言うと、岐阜は自家焙煎のお店が多い。仕入から抽出まで全工程をやりたい店主が増えてきたということは、それを求めるニーズがお客様側にあるということです。きっとお客様側に審美眼があると思うのですが、それは提供側=喫茶店主側が審美眼を高める珈琲の提案を長年してきたとも言えます。他県よりも喫茶文化の質は高いです。


SHOP INFORMATION

店名DOLCI café(ドルチカフェ)
住所〒500-8879
岐阜県岐阜市徹明通2-5 森屋ビル1F
電話058-263-7710
営業時間11:00~20:00(L.O.19:45)
休業日月曜定休(祝日営業)
その他駐車場無し

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